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2024年楽天市場の配送とページ新機能まとめ 最強配送からGOLDページ廃止まで解説

こんにちは。 株式会社インクワイアリー代表、後藤です。
2024年、後半戦が始まっているEC業界ですが、今年も楽天市場では様々な仕様変更、機能追加、ルール改正など目まぐるしく行われています。
楽天の昨年2023年1月〜12月までの決算では、市場やトラベルなどのネット通販事業は好調に推移していて、まだまだ日本モールECでは大きなマーケットを持っています。
そんな中で今年始まった制度や機能改善などを詳しく解説します。

1・あす楽廃止・最強配送へ

「楽天最強配送」は、楽天市場が2024年7月に導入した新しい配送品質向上サービスです。
このサービスは、指定された商品に「最強配送ラベル」を付け、迅速かつ確実な配送を提供することを目的としています。
最強配送ラベルが付いた商品は13時までの注文で当日発送、最短翌日に届くという利便性が特徴です。
またユーザーは配送日時を細かく指定でき、検索結果でラベル付き商品が優先的に表示されるため、購入しやすくなります。
配送の遅延があった場合、5%のポイント還元がされる保障も提供されており、信頼性も高まります。
最強配送ラベルが付いた商品は競争優位性を持ち、検索順位が上がるとされています。
ただし、ショップ側は運営コストや物流体制の整備が必要となるため、導入には一定のハードルがあり、導入できていない店舗も多いのが現状です。
もし自社で発送サービスを行っており人員などに余裕がある場合は、積極的に最強配送サービスを取り入れることで売上UPにもつながるかと思います。

最強配送を活かすために店舗が気をつけるポイント

1. 迅速な配送体制の整備
「最強配送」ラベルを獲得するためには基本的に当日発送や翌日配送に対応できる体制が必要です。
これには商品の在庫管理やピッキング作業の効率化、外部倉庫や物流パートナーとの連携が重要です。
また、365日対応する体制が求められることがあるため休日や祝日の配送にも対応する必要があります。
※年末年始(12/31〜1/3)および月1回の休業日は除外

2. SKUプロジェクトへの対応
楽天市場では商品を細かく管理するためにSKUプロジェクトを導入しています。
店舗は商品のSKU(在庫管理単位)をしっかりと登録・管理し、正確な在庫情報を提供する必要があります。
これができていないと最強配送ラベル取得が難しくなります。

3. お届け可能日の表示と設定
ユーザーが商品を選ぶ際にお届け可能日を明確に表示することが求められます。
これによりユーザーが自分の都合に合わせて受取日を選べるようになるため配送の利便性が向上します。

4. 顧客体験の向上
最強配送ラベルを持つ商品はユーザーに信頼されやすくなり、検索結果で優位に立つことができます。
しかしその信頼を裏切らないために確実で迅速な配送を維持し、遅延などが発生しないよう注意を払うことが重要です。
遅延が発生するとユーザー体験が損なわれ将来的な購入に影響を与える可能性があります。

5. コスト管理
迅速な配送を実現するためには物流コストが増加する可能性があります。
外部倉庫や追加の人員確保が必要になるためコスト効率を意識しつつも高品質な配送を提供するためのバランスを取ることが重要です。
これらのポイントを押さえることで店舗は楽天市場の「最強配送」制度を最大限に活かし、顧客満足度を向上させ、競争力を高めることができます。

2・PC TOPページのGOLDページ廃止

楽天市場では「新店舗トップページプロジェクト」と題し、楽天市場に出店中の全ての店舗トップページ上部の構造を統一することで、ユーザーが知りたい情報を一目で確認でき、ページ回遊率の向上を目指したプロジェクトが始動いたしました。 これまではGOLDページを使用して、店舗独自のTOPページを作成することが可能でしたが、上述のプロジェクトにより、まずはスマホ版のTOPページから各店舗ごとに移行開始し、ついに2023年6月以降からPC版にもこの機能がリリースされました。 これは主に利便性の向上と管理の簡略化が理由とされています。 従来のGOLDページはHTMLやCSSの知識が必要で独自のカスタマイズが可能でしたが、 これが運営者にとって手間がかかることが課題でした。 新システムでは、より簡単な操作でページを作成できるため、特別な知識がなくても運営がしやすくなり、標準化されたテンプレートを使用することで、一貫性のあるデザインが実現されます。

TOPページのテンプレート化のメリット・デメリット

【メリットについて】
操作性の向上
「GOLDページ」ではHTMLやCSSの知識が必要でページ作成が難しく手間がかかるという問題がありました。
廃止に伴いより直感的なUIに変更されたため、特に専門知識がなくてもページ作成が可能になったため、運営の負担が軽減されます。
負担軽減
GOLDページを使った場合、FTPを使ってファイルのアップロードや管理が必要でしたが、新システムではこれが不要になるため管理業務が簡略化されます。

【デメリットについて】
カスタマイズの自由度の低下
GOLDページは、HTMLやCSSを使って独自のカスタマイズが可能でしたが、廃止後のデザインシステムでは標準化されたテンプレートを使用するため、店舗独自のブランディングやデザインの自由度が制限されます。

他店との差別化が難しい
新しいトップページデザインは共通フォーマットを使うため、個性的なデザインで表現する事が難しく、特に他店舗との差別化が難しくなりました。
これにより、ショップの個性が出しづらくなり、AmazonをはじめとするモールUIに近づいていくでしょう。
これらの点を踏まえて、各店舗は新システムに適応しつつ、自分たちのブランドらしさを維持する工夫が求められます。
上記のメリット、デメリットを考えると、これまで店舗独自のGOLDページを用意し他店と差別化を図ってきた店舗から見ると、ややデメリットの方が多くなったかと考えられます。
これが直接的な売上に繋がってくる懸念も生まれると思います。

3・コンテンツページ新登場

主な特徴
1. 商品の魅力を深く伝える
コンテンツページでは、商品の特徴や使い方を詳しく説明したり、活用例やレシピ、購入者のレビューなどを含めて、ユーザーに商品理解を深めてもらうことができます。
2. ブランドストーリーや特集記事の掲載
ブランドの背景や理念、商品の開発秘話などを紹介することで、ユーザーの興味を引きやすくなります。これにより、ユーザーの関心を引きやすくなります。

役割とメリット
・情報提供の強化:商品ページだけでは伝えきれない内容を、テキストや画像、動画を用いて詳細に伝えられます。
・購入意欲の喚起:購入者が知りたい情報を包括的に提供することで、購入を後押しする効果が期待できます。
・キャンペーンの告知:スーパーSALEやお買い物マラソンなどのキャンペーン、イベントの詳細を案内し、集客効果を高めます。
・データ分析:これまでのGOLDページではアクセス数などの数値分析ができませんでしたが、コンテンツページでは各パーツ毎にアクセス数やクリック数などを分析できるようになりました。
楽天市場ではコンテンツページを活用して、商品情報の充実とユーザー体験の向上を図ることが多いです。

今回の記事のまとめ

楽天市場に限らず、モール全体での配送ルールは年々厳格化しています。それだけユーザー数も増加し、物流に対する評価が重要なポイントとなっています。ただし、出店者側が年中無休対応や即日出荷を求められることは、モールでのEC運営においてますます戦いが困難になっています。
また、ブランディングも重要ですが、モールとしてのUIの統一化も今後の課題になるでしょう。モール内では、店舗独自のブランディングが難しくなってきた現状があり、今後は「どのショップで買った」という意識ではなく、「楽天で買った」という認識が一般的になると思われます。
今後、楽天ではランディングページ(LP)の構成やクリエイティブの重要性がさらに増すでしょう。自社ECサイトへの参入や、楽天内でのショップの維持、競合との戦いはこれからさらに激化していくと予測されます。

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後藤 淳

2010年からWeb制作会社・EC事業会社、東京・福岡計5社に従事。これまでにWebデザイナー・コーダー・ディレクターとして幅広い業種を経験。EC事業会社ではWebデザイナー以外にショップ運営、販促企画立案等を担当。2015年にWeb制作・デザイン事務所「INQUIRY」を立ち上げ独立。2020年11月に法人化、株式会社インクワイアリーを設立、代表取締役に就任。